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2012年ロンドン五輪Wi-Fiアクセス

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チャレンジ

2012年のロンドン五輪。 メイン会場となったオリンピックパークには、極めて高い堅牢性と拡張性を備えた通信インフラが求められていました。 BTが挑んだのは、世界最大級の高密度無線LANを構築するという難題でした。

2008年の北京五輪でも、ごく限られたエリアで無線LANが導入されていました。 しかし2012年のロンドン五輪は規模が格段に違いました。 オリンピック史上初めて、メイン会場に観客向けの公衆無線LAN(Wi-Fi)を敷設するという試みであり、また会場の地形的な性質上、これまでにない画期的な技術的アプローチが必要でした。

五輪開催期間中は、何万人もの観客がWi-Fi対応のスマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどを持ち込むことが予測されていました。 しかし従来のWi-Fi環境では、それだけ多くの無線アクセスを処理できる設計にはなっていないため、またたく間にオーバーロードしてしまいます。 そこでBTはかつてない高密度無線ネットワークを新たに設計、構築、管理することにしたのです。 BTが構築した複雑な無線ネットワークは、公衆向けWi-Fiだけではなく、イベントの裏方業務やチケット発券システムにも用いられることになりました。 

最終的にBTがロンドン首都圏中に設置したホットスポットは50万か所以上にのぼりました。 ロンドン五輪の観客数はオリンピックパークだけでも連日17万人を超え、その内およそ50%以上がWi-Fi対応デバイスを使用したと推測されます。

平均的なユーザーのセッションあたりの接続時間は41分で、通信データ量は40MBでした。 8月4日(25種目の協議で金メダルが決まる「スーパーサタデー」)には、五輪開催期間にオリンピックパークで発生した総セッション数の26%のアクセスが集中しました。 8月9日(ウサイン・ボルト選手が200m決勝に臨んだ日)には、オリンピックスタジアムにおける接続時間の総計のうち16%が集中しました。

Wi-Fi 使用率が最も高かったのはオリンピックパークの公共エリア(44%)でした。 観客はお目当ての協議を観戦していない間、他の競技結果をインターネットでチェックしていたためと考えられます。 公共エリア外の使用率はどれも低めで、オリンピックスタジアム28%、アクアティクスセンター7%、バスケットボールアリーナ6%、リバーサイドアリーナ(ホッケー)7%、ヴェロドローム(自転車競技)3%、カッパーボックス(ハンドボール)イートンマナー(パラリンピックのみ)、ウォターポロアリーナ(水球)各2%という結果でした。

しかし、BTはどのようにしてこれほど大規模で複雑な通信インフラを、一度限りの競技施設の建設と並行して構築することができたのでしょうか?
それについては次項の「ソリューション」で詳しくご説明します。

2012年のオリンピックはまさにデジタル五輪でした。 BT社が提供した強大なWi-Fiインフラを使って、見物客もファンもウェブを活用。 今まで以上に交流が深まり、感動を分かち合えました”
- ロンドン五輪組織委員会(LOCOG)最高情報責任者 ジェリー・ペンネル氏

ソリューション

前代未聞の大量トラフィックに対処するためには、250ヘクタールのオリンピックパークだけでも1500か所の無線アクセスポイントを設置し、それらを100km超のケーブルで相互接続する必要がありました。 また、その無線LANで使用するための特別な周波数帯域を確保し、帯域利用に関する基本ルールを作成して、五輪組織委員会の承認を得る必要もありました。 承認されたルールをもとに、オリンピックパークでの主な利用者となる放送関係者、競技のタイム、スコア、順位の配信者、そして公衆向けWi-Fi 等に帯域を割り当て、管理しなければなりませんでした。

当初予想されていたWi-Fi同時接続数は、最大20万件という膨大なボリュームでした(実際、大会期間中にアクセスポイントのうち数か所はそれに近いアクセスが発生しました)。 公衆向けサービスはもちろん、組織委員会を含む五輪関係者からのWi-Fi接続も確保するため、BTデザインと他社メンバーによる技術チームは、通常の約4倍の冗長性と非常に高い通信効率をあわせもつWi-Fiコアネットワークを設計しました。

公衆向けWi-Fiの構成は10Gbpsのバックホール回線と、最高速度300Mbpsのデュアルバンド無線アクセスポイントを約850か所。 予想される観客数に十分対応できるよう、高密度アクセスポイントには特殊なアンテナを設置し、ポイント間の電波干渉を最小限に抑えました。

BTが設計したIPネットワークは、複数フェーズでの高度な周波数調整を可能にしており、モバイル利用者が会場内を移動しながらでも途切れることがない、シームレスなWi-Fi環境を実現しました。

またBTは、競技参加者やレートカード使用者、要人(VIP)、および大会関係者のためのバック・オブ・ハウス(BoH)Wi-Fiサービスや、大会関係者の家族向けプライベートWi-Fiサービスを提供しました。 BoHサービスはチケットシステムの運用にも利用されました。

組織委員会から大会関係者の家族に貸し出した3Gデータオフロードサービスでは、特別開発したクライアントソフトを用いてサムスンの携帯電話機にハードコードされた暗号キー(WPA2 PSK)を使用しました。

関係者向けWi-Fiサービスには、約644の無線アクセスポイントを使用。 コアネットワークに送信されるトラフィックには暗号化された通信トンネルを用いました。 すべての競技場において、選手用の割り当ては総接続数の48%、総トラフィックの52%。 関係者向けWi-Fi で最も通信が盛んだったのは選手村で、オリンピックパークにおける総接続数の30%、全使用帯域幅の24%を占めました。

オリンピックパークで使用するすべての無線アクセスポイントを制御するために、60基の無線アクセスコントローラを導入しました。 「本来は、もっと少なくてもいいのですが…」と、ロンドン五輪無線LANテクニカルデザイン担当だったBTデザインのジュニア・セセイは言います。 「ここまで高密度な無線LAN は我々にとっても未知の領域です。 個々のコントローラにかかる負担を軽減し、サービス水準の一貫性を保つために十分な余裕をもたせたかったのです。」

この大規模Wi-Fiネットワークを管理するためBTが採用したのは、2012年2月、アメリカ最大級のスポーツイベント「スーパーボウル」でも威力を発揮した無線アクセスポイント管理システムでした。 このシステムがあれば、ネットワークを隅々まで可視化し、インフラ全体を最適化、潜在的な問題を検知し、サービスに支障を来す前に対処できます。

2012 年ロンドン五輪では、何ひとつ不確実なものはないというところまで徹底した備えがなされました。 2基の無線アクセスポイント管理システムは、それぞれプライマリとセカンダリ両デバイスのブラックボックスとして稼働。 プライマリに障害が生じた場合は、第1のブラックボックス内でプライマリからセカンダリへ処理が受け継がれます。ありえないことではあるものの万が一、両方に障害が生じた場合は、システム全体が第2のブラックボックスに受け継がれます。

五輪組織委員会最高情報責任者ジェリー・ペンネル氏は言います。 「2012 年のオリンピックはまさにデジタル五輪でした。 BT 社が提供した強大なWi-Fiインフラによって、見物客もファンもウェブを活用することが出来た。 今まで以上に交流が深まり、感動を分かち合うことができました。」

BTが提供したバリュー

大会が開催されるまで、BTは何度も公衆向けWi-Fi のサチュレーション(飽和)テストを実施しました。 また、1万人の観客を動員して行われた2度の開会式リハーサルでは、本番さながらのトライアルも実施しました。 さらに、各エリアの通信サービスに支障をきたすことがないよう、オーバーロードの潜在的リスクを可視化した詳細なヒートマップを作成しました。 ロンドン五輪無線LANテクニカルデザイン担当のジュニア・セセイ曰く、「いざ五輪が開催された際には、このヒートマップは別々のネットワークセグメントの中からボトルネックを発見するのに大いに役立ちました」。

ヒートマップ以外に、包括的なレポートを生成する仕組みも大いに役に立ちました。 このレポート機能では、備品在庫状況やネットワーク健全性、無線LAN同時接続数といった統計情報をボタンひとつで取得することができました。 また、テクニカル・オペレーション・センター(TOC)ではネットワークの利用状況をモニタリングし、システム管理機能を使い必要に応じて動的に調整しました。

無線ネットワーク管理システムと、予め準備したテンプレートを使えば、オリンピックパークに設置した全60基の無線LANコントローラをたった3分で完了させることができました。 従来であれば、こうしたオペレレーションは技術工数だけで10人時間はかかった上、60か所を移動する時間も必要だったことも考えると、生産性は200 倍に向上したことになります。 当社はサーバとアプリケーションの管理のためだけで4人の担当を割り当てる予定でしたが、実際にはたった1人で無線インフラ全体を管理することができました。 サーバの数も、当初は10台分の予算を確保していたものの、結果的には4台まで減らすことに成功しています。

大会期間中は、無線周波エンジニアリングのエキスパートを集めたBTの専門チームが、組織委員会との密接な連携を行いながらWi-Fi ネットワークの稼働状況を監視しました。 周到な準備と行き届いた管理により、史上最大規模の公衆向けWi-Fiインフラは大会期間中を通して稼働率100%を達成することができました。 このことは、サービスに支障を来す障害は会期中一度もなかったというカスタマーエクスペリエンスによって裏づけされています。

「2012 年ロンドン・オリンピックおよびパラリンピックの会期を通して提供されたBT 公衆向けWi-Fi サービスは、世界で最も複雑かつ大規模な高密度Wi-Fi として、大成功を収めました」とBT社Wi-Fi デリバリー・ディレクター、ダーレン・マクリーンは締めくくりました。

サービス概要

  • BT Wi-Fi
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  • BT デザイン
  • BT オペレート

参考資料

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